心房細動に対する治療法【薬物療法】

薬物治療には心房細動の発生を抑制して正常洞調律を維持する抗不整脈薬(リズムコントロール)、心房細動の心拍数を抑える(レートコントロール)、そして血栓の生成を抑制する抗凝固療法があります。

抗不整脈薬は種々の薬剤が開発されていますが、心房細動の発生を抑制して正常洞調律を維持する作用だけでなく致死的不整脈と言う重篤な副作用の可能性があり、その使用は慎重に行われます。

β遮断剤は心房細動の心拍数を抑えるだけでなく、交感神経の緊張を低下させて心房細動の発生を抑制する作用も期待され、持続性や永続性心房細動だけでなく、発作性心房細動でも使用されます。

 

心房細動では左心耳内に血栓が生成され、それが原因で心房細動の一番恐ろしい合併症である心原性脳塞栓症をおこす訳ですが、抗凝固療法はこの血栓の形成を抑制して心原性脳塞栓症の危険性を低下させます

発作性心房細動でも心原性脳塞栓症のリスクはありますので、脳塞栓症のリスクの程度に応じて服用することが大切です。

代表的な抗凝固薬であるワルファリン(ビタミンK拮抗薬)は、定期的に血液検査で血液の固まりやすさ(INR値)を測定することで抗凝固作用を確認、調整できる薬剤で安価です。欠点として、他の薬剤や食事などに影響を受けることが挙げられます。

10年ほど前から導入された直接経口抗凝固薬(DOAC)はINR値を測定する必要がない反面、抗凝固作用を確認できないという欠点があります。

いずれの抗凝固薬も出血性合併症の可能性があり、外科手術などを受けるときには一定期間の休薬が必要になります。