心房細動の機序はいまだ完全には解明されていませんが、肺静脈などに発生する異常な高頻度興奮が原因となり、その興奮が心房全体に伝播する際に伝導が遅くなったり不均一になったり、あるいは興奮旋回することでさらに複雑な心房興奮様式となると考えられています。さらに、心房が高頻度の興奮に長期間さらされていると、心房細動が維持されやすくなり、正常な調律に戻りにくくなります。
つまり、心房細動の治療や予防においては、心房細動が発生する危険因子を抑えるとともに維持しにくくすることが大切です。
心房細動発生の危険因子として、心不全,高血圧症,年齢,糖尿病,脳梗塞(または一過性脳虚血発作)や心筋梗塞や動脈疾患の既往が挙げられます。
したがって、このような危険因子をお持ちの方は、かかりつけの主治医に心房細動についてもよく相談されることをお勧めします。
アルコールやカフェインの過剰摂取、精神的ストレス、睡眠不⾜などがあると心房細動が発⽣しやすくなるといわれていますので、これらの要因をなるべく減らすことも心房細動を予防する上で大切です。
すでに心房細動を持っている方は、最も恐ろしい合併症である心原性脳塞栓症の発生を予防することが大切です。
発作性よりも持続性,持続性よりも永続性心房細動の方が心房細動である時間が長く、心臓内に血栓を形成する危険性は高いのですが、時々しか心房細動にならない発作性心房細動であっても心原性脳梗塞の危険性はあり、どのようなタイプの心房細動であっても適切な治療を受ける必要があります。